恋愛戦争
「社会に出てわかったことは、大人は大人じゃなかったってこと」
終わったと思った会話は彼女の独白で紡がれる。
「なんで?なんかあったの?」
「何にもなくても、そう感じたの」
「ふーん。なんとなく分かるよ」
本当の大人は少ない。
世の中の人間は少子高齢化で、大抵が大人な筈なのに殺人もテロもなくならないのは、その大抵が子供のままだからだ。
我慢、配慮、遠慮、思いやり、やむを得ない。都合よく使われて行く言葉の裏にはいつも誰かの利害が見え隠れする。
本当は皆分かっている。
こころが成長できていないのに、歳だけ重ねて行く恐怖を。
そしてそれを変える術がないということも。
そして皆大人ぶる。
人類共通の悩みに直面している晶は、いまは大人なのか、子供なのか。
「晶はどっち?」
「わたしは、大人な子供になりたい」
激しく同意をする。
「頑張ってきたんだな、晶は」
「べつに」
エリカ様かよ。
つん、と外を向いた彼女の耳にかかる数本の髪にすら愛おしさを抱く俺は、子供のままの大人だ。
何度か道端に心を落としてしまって、すり減っていく様を見ている。
その度に取り繕って虚勢に虚勢を重ねているからこそ、晶といると全部を丸裸にされる。
そうされることを望んでいる。
綺麗事を言えば、本当の自分とか、綺麗な心とか、そういった類に近い。
晶に触れると浄化されていくみたいに、さっさと真っ白になりたい今日この頃。