風に恋したキミと



それから夏休み中、わたしはまるで何かに憑りつかれたかのように走り続けた。



走って



走って



走って。



誰にも負けたくなくて、自分にも負けたくなくて……。



目標を高く設定したことを誰にも文句言わせたくなくて、笑われたくなくて。



それだけ一心だった。



もちろん足にも気を遣って。



コンクリートを走るのは足によくないって言われたから、土や砂の上を走るように心がけた。



部活からクタクタになって家に帰って来たって



夕ごはんを食べてから家の近くにある運動公園の外周を走り続けたんだ。



部活の休みはお盆の1日で、それ以外は学校と家の往復で



長い長い夏休みは終わった。



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