あきらめない ~ 青空の下のマウンド ~
いつだったか、史花と完全に俺のほうに非がある喧嘩をした時のこと
その日、俺はたまたま同級生の男子が「山内って可愛いよな」と言っているのを聞いて、むしゃくしゃして史花に当たってしまった
結局その日は謝れなくて、次の日、むしゃくしゃしたままだったけれど、スーパーで買ったこんぺいとうを片手に史花に謝りに行った
「ものでつるな!!」って、怒られるかと思ったら、史花はそれを見てニコッと笑い、俺に向かって「ありがとう!」と言った
それを見た瞬間、むしゃくしゃしていた気持ちがふっと楽になって、怒っていたことがどうでも良いことのように感じた
だから、俺が史花にこんぺいとうをあげるのは、史花の笑顔が見たいからでもある
「よし、ランニング行くかな」
俺はそう言って、いつものルートを走った
規則正しく息を乱さないように10km走り終えると、時間はすでに7時
7時40分には史花を迎えに行くから、 ちょうどいい
さっとシャワーを浴びて、制服に着替え、きちんとご飯を食べる
「いってきます」
俺がそう言うと、朝ごはんを食べている父さんと母さんは
「いってらっしゃい」
と笑顔で言った
史花の家の前に行くと、史花はもうそこに立っていた
練習に行く時はそれぞれ自主練とかで行く時間が異なる時が多いから、あまり一緒に行くことはないけれど、学校に行く時は毎日一緒に行く
いつもなら俺がくるとすぐに気づいて、「おはよ〜」と笑顔でこっちへ来るのに、今日はなにか考え事をしているような真剣な顔をして、全くこっちに気づかない