もう一度、あなたと…
Act.2 目覚めたら…
光が眩しい…。
刺す様なキラキラ感。
目を開けたいのに、開けられない。
こんな感覚、経験したの初めて。
今まで一度も、体験したこともない。

ここはどこ……?
知ってるとこ……?
光の集まる場所。とびきりの笑顔が集まる場所。
もしかしてここは……

そう、もしかしてしなくても、ここは……




「エリカ!」

ハッ!と目が覚める。…違う。閉じてた目を開けたんだ。

こげ茶色の世界に写る白いレースのカーテン。窓枠の外に見える緑の芝生。いつか見た結婚情報誌みたいな景色。
夢みたいな世界だな…ってしみじみ思った。


「エリカ、どうした?」

優しい声がする。聞いたことのない声。
不思議な感覚に襲われて、声の主を振り返った。

背の高い男の人が膝をついてる。シルバーのタキシードを着て、左手に白い手袋を握ってる。
くっきりとした二重まぶたの目は、どちらかと言うと四角っぽくて、小鼻のスッとした鼻は高くはないけど形が良くて、唇は薄くて、細い顎に比べると少し大きめかな…って感じがして……。

(この人…初対面ではない気がするけど、どこかで会ったっけ……?)

「…あなた…誰⁉︎ 」

柔らかそうに見えるダークブラウンの前髪に触れながら聞いた。
初めて見る人みたいなのに、行動だけは大胆な態度をとった私の名前は『高橋 江梨花(たかはし えりか)』32才。
結婚して10年目を迎えた今年の春、夫だった『杉野 太一(すぎの たいち)』と離婚した人。


「エリカ…お前、健忘症にでもなったのか⁉︎ 」

さっきから私に前髪撫でられてる人が笑いながら聞く。
この優しい笑顔には覚えがある。そう…確か、職場で見かけたことがあるような……
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