俺様社長と秘密の契約
・・・それから、私たちは何度となく体を重ねた。

体の痛みは慣れと共に消えて行く。

でも、気持ちいいと思う事はない。

感じるのは、心の痛みだけ。


…今夜もまた、社長室で、御堂社長は私を抱いた。

抱く合図は、いつも首筋に着けるキス。

その度に、痕は深く深く色づいていく。

こんな事をしていたら、もう一生、その痕は消えないんじゃないかと

思ってしまう。


「…理子」

「…会社では名前で呼ばないでください」

…本当はそんな理由じゃなかった。

自分が愛した人、愛してくれた人に下の名前で呼んでもらいたかった。

だから、御堂社長に、呼んでほしくなかった。


「俺がお前を何と呼ぼうが、俺の勝手だ」

「・・・」

・・・やはり、この人には、私の気持ちを言っても伝わらない。


「今夜は一緒に食事をしてから、家まで送る」

「・・・」

私がyesと言おうが、noと言おうが、この人はどちらでもいいんだろう。

だからあえて、返事もしなかった。

御堂社長にとっては、私はただのおもちゃなのだから。
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