大切なものはつくらないって言っていたくせに

「うーーーーん。どうだろう。なんて言っていいもんか。」

「・・・・・・・。」

「だいたいさ、お前は免疫ないからな」

「何の免疫だよ？」

「振られるとか拒否されるとか。片思いとか？今まであり得なかったろ？そういうシチュエーション。」

「それは、あいつが拒否したっていう意味か？」

「さて、問題。 自分がいいなあと思った女にオトコがいました。 それでも、君は彼女を手に入れたい。さて、どうしますか？」

「・・・・・・・。」

「俺の場合、土下座して一回でいいから俺と寝てくださいってお願いする。そこからスタートして、徐々に段階を経て絶対に奪う。」

「アホか。。。」

「おまえに、そんな情熱と忍耐があるか？ てか、諦めて他でいいだろ？お前の場合、選択肢はいっぱいあるわけでさ。」

「あいつにオトコがいるって言いたいんだな。」

「そうは、言ってないさ。」


「・・・・・・・・・・。」

「イマイチ、ワカンねえんだよ。 彼女は、いまの生活を邪魔されたくないと言っていたよ。 相手が今幸せで、それでもそれをぶっ壊してお前が彼女をそれ以上に幸せにできるかって事だよ。そういう覚悟がお前にはあんのか？」

「・・・・・・・・・・・。」

「彼女も顔出しの料理家さんだしな。仕事だってプロ意識をもってやってる。そうだろ？」

わかってるよ。わかってるんだ。

「なんで、姿を消した時にすぐに店に来てくれなかったんだって、彼女は言っていたけど？ だから、もう遅いって。それってどういう意味なわけ？ 俺には2人に何があったのかは知らないし、伝えられることは彼女の言ったその言葉だけだよ。」