今度こそ、練愛
仕事だから仕方ないと、あの時は素直に受け入れた。
だけど、真実を知ってしまった今は違う。
仕事だと称して他の女性と会っていたのだから、私を騙した罪は重い。
苦笑いを見せたまま昭仁は答えない。
そんな顔を見ていたら、余計に腹が立ってきた。
「もう仕事は片付いた? 急に呼び出されるなんて困るよね、もし週末に旅行に出かけてしまってたらどうしようもなかったね」
「あ、うん……そうだな」
昭仁はもごもごと答えて、カップに残ったコーヒーを飲み干した。きっと早くここから退散しようと考えているのだろう。
「え? そんな急ぎの対応してたか? いつ入ってきた仕事だよ?」
木戸先輩は相変わらず、状況を呑み込めずに聞き返してくる。それが昭仁を余計に窮地に追い込んでいるとも知らずに。
うろたえるような昭仁を見て、自業自得だよと心の中で呟く。
これは私に嘘を吐いた罰。
騙した罰なんだ。