今度こそ、練愛
「先輩、土曜日に急に入った仕事みたいですよ、もしかしたら土曜日も出勤してたのかも……」
次から次へと嫌みな言葉が口を突いて出てくる。私って嫌な女だと思いながらも、言葉が溢れ出てきて止まらない。
「マジ? そんなことがあったの? もう片付いたのか?」
「ああ、朝一に提出したから。土曜日の朝、担当から急に電話があって呼び出されたんだ」
「そうか、片付いたならよかった。そうじゃなければこんなところで悠長に話してられないからな」
木戸先輩の問いかけに焦りながらも答える昭仁を、私は冷ややかに見つめていた。
よくもそんな嘘を言えるものだと思いながら。
だけど、まだ昭仁から謝罪の言葉はない。
昭仁は私の視線を避けるように、木戸先輩と話しながら休憩室を出て行く。
「無理しないでね」
冷ややかに返した私の声に、昭仁が振り向いた。
「じゃあ、またな」
見たことないほど顔を強張らせた昭仁は、私と目も合わさないまま休憩室を出て行った。