今度こそ、練愛
まだ雨は降り続いている。
雨脚は弱まったとはいえ、まだ止みそうには思えない。せめて帰る頃には止んでいてほしいと思いつつ、店の入り口へと目を向けた。
同時に店のドアが開いて、颯爽と入ってきたのは山中さん。肩を竦めながらカウンターに居る私に、にこりと微笑んでくれる。
「お疲れ様です」
息が停まりそうになりながら挨拶すると、事務所に居た高杉さんと仲岡さんがやって来た。
「よく降る雨だね、今日はのんびりかな?」
「嫌な雨ですね、こんな日は店内の片付けが捗りますよ」
「たまには店内のことに専念するのもいいだろう」
ぐるりと店内を見回して、山中さんは高杉さんに手土産の紙袋を手渡す。高杉さんが一礼した後、仲岡さんと私も礼をした。
「いつもありがとうございます、最近あちらのお仕事は落ち着いたんですか?」
受け取った紙袋を持ったまま高杉さんが問い掛ける。山中さんは苦笑いしながら首を傾げて、
「うん、落ち着いてるのかな……」
と言葉を濁す。
この店のオーナーとしての仕事だけでなく、グループ会社の仕事もこなさなければいけない山中さんの立場を思い知らされて辛い。
気持ちとともに表情まで、つい下へと向かってしまう。