四百年の恋
 (近くで見ると、目鼻立ちも整っていて。あまり近場ではお目にかかることのないような、いわゆる正統派美男子)


 真姫がそんなことをぼんやり考えていると……。


 「あの……。福山さん、でしたか」


 同級生の静香とその仲間たちが、福山に近寄った。


 「おっ、女王様のチェックが入るよ」


 麻美がそれに気がついた。


 歴史科三年生の代表的存在の、初芝静香(はつしば しずか)。


 勉学優秀で典型的優等生であり、テニス部でもエース格で、目立つ存在。


 だけど真姫には、ちょっと苦手なタイプだった。


 妥協を許さないところというか、何事に対しても厳しいところが若干……。


 それはさておき。


 「福山さんっておいくつなんですか? どこに住んでらっしゃるのですか? お勤めは? 出身大学は?」


 クラスの重鎮を自認する静香は、新顔であるこの福山がどんな人物であるか、知っておく必要があると考えたようで。


 矢継ぎ早に質問を繰り返した。


 聴講生は社会人が大部分なので、年上だと仮定した静香は敬語で話しかけたようだ。
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