四百年の恋
 「犬の毛のDNAから、犬種を突き止めたらしいですよ」


 犬を飼うには登録が必要なため、犬種さえ判れば飼い主を突き止めるのは容易。


 しかも市内ではあまり多く飼われてはない、血統書付きの猟犬であり、どこの犬か判明するのは時間の問題だった。


 同時に犯人の足跡も採取されているので、靴の種類やサイズと照らし合わせれば犯人は明白だった。


 「やる気になれば、こんなに早く犯人を突き止められるものなんですね」


 職員室でもその話題で持ち切りだった。


 窓の下では、ウサギ小屋の修復工事が行なわれている。


 「これまでは、性善説に乗っ取っての管理でしたが……」


 今回の惨事をきっかけに、学校周辺のセキュリティも強化された。


 かなりお金がかかる工事だが、費用は寄付金でまかなわれた。


 「丸山乱雪ですか……」


 本人が直接関与すれば政治資金不正利用云々の問題があるらしく、別ルートから寄付が寄せられた。


 これまで清水がさまざまな問題を起こしても学校側が何の手も出せずにいたのは、清水自身が成績優秀であるということの他に、父親が丸山乱雪であるからということは圭介はすでに感知していたが。


 そのことを今回改めて思い知らされる結果となった。
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