あなたの優しさが…
個室に私と…彼だけ。

無言のまま。



聞きたいことはあるけど…

ご飯がくるから、その後かな?

そんなことを考えていたら


彼が口を開いた。

『今日から俺と暮らす。あの店には二度と行かなくていい』

それだけ言った。



え?話はそれだけ?

それに暮らすってなんで?

全く意味がわからなかった。


…もしかしたら、売られたの?


…母なんだろうか…



またか…。



そんなふうに思っていたら

『雅樹くん…それだけじゃ伝わらないわょ』


そう言いながら、女将と呼ばれていた女性がクスクス笑いながら料理を運んできた。


彼はまた眉をひそめながら私を見た。

伝わってないょ…と思い

私は首を縦に振った。
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