初めてを君と。
私の声に、弾かれたように後ろを振り返った晴輝くん。

「あ……ごめん。」

「私こそごめん。こんなの着てきたら、歩くの遅くて…ごめんね?」

「え、なんで!俺が悪いのに。こんなん慣れへんくて…
くーちゃん草履で慣れへんのに、ごめんな。
ゆっくり、歩くから辛かったら言ってな」

そう言って今度は私の歩幅に合わせて歩いてくれた。
二人で、電車に乗って花火大会の会場に向かった。電車の中にも浴衣を着た人たちがいて、
みんなどこか浮き足だっているような気がした。

ふと前を見たら、窓の外ばかりを見つめる晴輝くん。難しそうな顔をして何か考えている。

晴輝くん、どうしたのかな…

やっぱり浴衣失敗やったかも。

何も言ってくれないし、そもそも、ちっとも見てくれない。

私はどんどん落ち込んでいく気分を紛らわせようと、窓の外を眺めた

少しづつ日差しも弱くなり夜が近づく。
花火大会は楽しみだけど、
本当に何も喋らない晴輝くんが気になって仕方がなかった。

晴輝くんから誘ってくれたのにな……
何か話かけたいけど、
そんな雰囲気でもないし…

神埼さんの事のでも考えてるのかな。
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