年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
苛立つ私が間に入ろうとしても、身長一五六センチの私じゃ二人の睨み合いは遮れない。
二人を引き離そうとすると、どうしても無防備に触れることができるのは祥裄のほうで、祥裄の腕をぐいっと引っ張ると二人が睨み合いをやめて同時に私を見た。

「こんなところで睨み合わないで。近所迷惑でしょ。……大輔くん、送ってくれてありがと。もう帰って」

そう言うと、私を見る大輔くんが少し傷ついたような顔をした。

それに対して祥裄は偉そうににやっと笑う。

「もう遅いんだから、子供は帰んな。沙羽は俺が引き受けたから」

「何バカなこと言ってんの、あんたも帰るのよ。せっかく持ってきてもらったのは嬉しいけど、ケーキもワインも受け取れない。絵里ちゃんと一緒に食べて」


「絵里とは別れて来たよ」


さらっと爆弾発言を投下する祥裄に、私だけじゃなくて大輔くんも不審げな目を祥裄に向ける。


「別れたって……あんたこの前の私の話、もう忘れたの? 支えてあげてって言ったじゃない」

「別に支える必要なんてなかったんだよ」

「はあ? 何言って……」

「そういう話をするために来たんだよ。

……長くなるけど、それこそこんなところで話してたら近所迷惑じゃないのか? 部屋入れろよ」
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