年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
そうやってしばらく歩いたところで、後ろから呼び止められた。
「片桐さん!」
振り向くと辻井さんが、どうやら走って追いかけてきたようだった。軽く息を弾ませながら、私に向かってくる。
「よかった、見失うかと思った。走るのが早いとは聞いてましたけど、歩くのも早いですね」
弾んだ息はすぐに整って、綺麗な顔で微笑む。
「すみません、お呼び止めして。……大輔に会いに来たんじゃないんですか?」
ぎくりとした私の表情を、辻井さんはどう受け取ったのか。
「そういうわけじゃ、ないんですけど」
素直に認めない私を、少し真顔になって、じっと見る。
「僕が口を出すべきではないと、わかってはいるんですけど。あいつと何か、ありましたか?」
押し倒されて泣いて拒んだと、まさかそのまま話せなくて黙り込むと、私の表情を見ていた辻井さんはまた、ふ、と笑った。
「困らせてしまったみたいですね。すみません。……困らせついでに一つだけ、頼まれて欲しいことがあるんですけど、今から何か用事はありますか?」
「……ありませんけど」
辻井さんが私に頼み、なんて何事だろう。
まったく思い浮かばなくて訝しく見返すと、綺麗な笑顔が少しだけ、悪戯めいた笑みに変わる。
「とりあえず、店に来てもらっていいですか? もう閉める時間ですし、ちょっと僕まで風邪ひきそうなので」
そう言った辻井さんの服装は、お見送りをしたまま出てきたんだろう、コートもなにも着ていなくて、室内にいるような格好だった。走っているときは良かっただろうけど、止まった今は寒いだろう。
私が頷くと、ありがとうございます、と笑って、私を促して店に向かって歩き出した。
「片桐さん!」
振り向くと辻井さんが、どうやら走って追いかけてきたようだった。軽く息を弾ませながら、私に向かってくる。
「よかった、見失うかと思った。走るのが早いとは聞いてましたけど、歩くのも早いですね」
弾んだ息はすぐに整って、綺麗な顔で微笑む。
「すみません、お呼び止めして。……大輔に会いに来たんじゃないんですか?」
ぎくりとした私の表情を、辻井さんはどう受け取ったのか。
「そういうわけじゃ、ないんですけど」
素直に認めない私を、少し真顔になって、じっと見る。
「僕が口を出すべきではないと、わかってはいるんですけど。あいつと何か、ありましたか?」
押し倒されて泣いて拒んだと、まさかそのまま話せなくて黙り込むと、私の表情を見ていた辻井さんはまた、ふ、と笑った。
「困らせてしまったみたいですね。すみません。……困らせついでに一つだけ、頼まれて欲しいことがあるんですけど、今から何か用事はありますか?」
「……ありませんけど」
辻井さんが私に頼み、なんて何事だろう。
まったく思い浮かばなくて訝しく見返すと、綺麗な笑顔が少しだけ、悪戯めいた笑みに変わる。
「とりあえず、店に来てもらっていいですか? もう閉める時間ですし、ちょっと僕まで風邪ひきそうなので」
そう言った辻井さんの服装は、お見送りをしたまま出てきたんだろう、コートもなにも着ていなくて、室内にいるような格好だった。走っているときは良かっただろうけど、止まった今は寒いだろう。
私が頷くと、ありがとうございます、と笑って、私を促して店に向かって歩き出した。