年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~



誰かが、私の髪を撫でている。


ゆっくりと、慈しむように、愛おしむように。


そのリズムが気持ち良くて、浮上しかけた意識がまた、沈みそうになる……そう思ったところで、ふっと覚醒した。


「……沙羽さん?」


私の名前を呼ぶ、柔らかな声がする。

目を開けて体を起こすと、大輔くんが起き上がって、私を心配そうに見ていた。
はっとして腕時計を見るともう朝方だった。少し眠るだけのつもりだったのに、いつの間にか熟睡してしまったらしい。

「ごめん、勝手に入った上に寝ちゃって……」

「それはいいんですけど。どうして、ここに?」

「大輔くん、お店に携帯忘れていったでしょ? 辻井さんに頼まれたの、届けて欲しいって」

「タケさんが?」

ふと視線を下げて考えるように黙り込む。

その表情からは昨日の夜の苦しそうな様子は消えていた。随分落ち着いたようだけど、熱は下がったのだろうか。

大輔くんが自分で外したのだろう、額の冷却シートはなくなっていた。
手を伸ばして額に触れると、大輔くんが驚いたように顔をあげて、体を固くする。私は深く考えずに手を伸ばしてしまったことを少し後悔した。
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