年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
また犬みたいなきょとんとした顔をする。

「え?」
「時間外料金なら払う。いくらでもいい。切って欲しいの、今すぐ」

冗談じゃない私の目を見て、戸惑いながら彼が私の髪をひと房掬った。

「いやでも、もったいないですよ、こんな綺麗な髪……」

「いいの。今すぐ切りたい気分なの。切って」

はっきり言い放つ私に困った視線を向ける。

「でも俺、まだ女性のお客さん切らせてもらえないんで」

「練習中? いいよ、仕上がりなんてどうでも」

「そんなわけにいかないです、こんなに綺麗なんだから」

そう言ってなんだか愛おしそうに私の髪を掬う彼の手つきが、祥裄の仕草を思い出させた。
美容師ってやっぱり傷んでない髪が好きなんだろうか。

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