年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
「親に挨拶に行った、って言ってたらしいですけど、その割には沙羽先輩から幸せオーラが出てないなあ、って思って。
あんまり乗り気じゃないんですか? 結婚」
チャームのナッツをつまみながら、明日香ちゃんが興味津々の目を私に向ける。
「一回でも絵里なんかにふらついた男なんてごめんよ、とか?」
「そんなことは思わないけど」
「じゃあ他に好きな男がいるとか?」
質問に答えずに無言でグラスを傾ける私を、明日香ちゃんがじっと見る。
「目撃証言その一。近所のラーメン屋で、夜遅くに若い男の子と一緒にいる楽しそーな先輩を見た」
ぶほっとむせ返って、慌ててグラスを置く。明日香ちゃんがすかさずおしぼりを差し出してくれた。
「なっ」
「その二。先輩が男と一緒に家に入って行くのを見たけど、どう見ても木下さんじゃなかった」
「そんな証言誰から……っ」
「ネタ元は企業秘密です」
しれっとした顔で焦る私を見ている。この子、うちの社員に関することで知らないことなんてなにもないんじゃ……。