年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
元の席に戻って、またイチから髪を乾かしてくれる。

ドライヤーを手に取りながら、彼が躊躇いながら口を開いた。

「あの。お名前、伺っても?」

「……さわ、です」


私の下の名前は、名字にも名前にも取れる。迷って名前だけ伝えたけど、彼は気にしない様子で、さわさん、と一度確かめるように呟いた。
年下の男の子に下の名前をさん付けで呼ばれることなんてないから、妙にドキっとする。


「やっぱりもったいないと思いますよ。ばっさり切るの。
これだけ長い髪をいい状態で保つのって、相当気を遣うでしょう? それだけ大事なんじゃないんですか?」

「今までは、この髪を好きだって言ってくれる人がいたから頑張れた。
……でももう必要ないから。その人はもう、私の髪なんて見ない」


ぶっきらぼうな私な答えに、彼は少し考えてから、穏やかに言った。


「その人はもう見ないかもしれないけど、また他に綺麗だと言ってくれる人が現れると思います。
現に俺は、すごく好きですよ」


髪の話をしているのに、そんな言い方をされると勘違いしそうになる。

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