年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
ドライヤーの温風と、髪の間を通っていく、一定のリズムで動かされるブラシの動きが、私の意識を徐々に奪っていく。
部屋の暖かさと、体の奥に残っていたアルコールが相まって、だんだんまぶたが重くなってきた。


――誰かに髪を触られるのって、なんでこんなに安心するんだろう。


彼の気配はどこか、ほっとする。


「じゃあ約束ですよ、さわさん。絶対俺に切らせてくださいね」



彼の声も、ほっとする。

柔らかく響く自分の名前の響きに、癒される。



「俺、さわさんのこと……」



だんだんと彼の声が遠ざかっていく。

暖かい、気持ちいい……。




……眠い。

穏やかな声に包まれながら、いつの間にか私は、意識を手放していた。
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