年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
救急車呼ぶ? というその人の言葉に、のろのろと首を横に振って答えると、その人の細い腕が俺の肩の下に差し込まれた。


「少しだけ歩ける? あっちにベンチがあったから、そこまで頑張って」


俺の体重を支えるにはあまりにも細いその体が、意外と強い力で俺の体を押し上げた。
フラフラしながらできる限りその人の負担にならないように、必死で足を動かす。


よっ、とベンチに座らされて、頭を下げさせられる。
頭の下にはどうやらその人が着ていたらしいカーディガンの柔らかな感触。
目を閉じて、膝を立てて寝転んでいると、徐々に意識がはっきりしていった。


すっと額にまた温かい手の感触を感じた。

ゆっくり目を開けると、さっきより鮮やかに、きちんと色を伴ってその人の顔が視界に広がった。


大きいけどきりっとした目とすっと通った鼻筋、全体的にはっきりとした顔立ち。
いかにも大人のいい女、といったその顔が、今は不安げにひそめられている。
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