年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
「本当に大丈夫? 救急車が嫌ならタクシー呼ぼうか?」
柔らかなアルトの声が脳内に優しく響いた。
一番目を吸い寄せられたのは、真っ直ぐな長い髪だった。少しの風にさらりと揺れて、その人の肩に滑り落ちる、艶を感じる綺麗な黒髪。
ほとんど無意識に、手を伸ばしていた。
「キレーな髪……」
その髪に指が触れて、想像通りの手触りを感じた時、アルトの声が困惑したように言った。
「……、きみ、意識ある?」
はっとして手を引っ込めた。礼を言うより謝るより先に髪に触るなんて、ただの変態だと思われてもおかしくない。
「すみませんっ」
勢いよく起き上がって謝ると、少しだけふらっとした。