年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
「ありがとうございます。すみません、ご迷惑かけて」
「いーえー。あんな顔で座り込んでたら、誰だって見過ごせないよ」
ふふ、と笑うその横顔に、また見とれた。
艶やかな黒髪が揺れていて、今度ははっきりとした意識の中で、その髪に触れたいと思った。
この人なら、冷たく断ったりはしない気がする。よし、と心の中で自分を奮い立たせて、切り出した。
「あの、俺、実は美容師の見習いをしてるんですけど。カラーの練習をさせてくれる人を探してるんですけど、よかったら協力してもらえませんか?」
俺の言葉に、その人の顔がふっと曇った。
「あ、こんな綺麗な髪、染めたくないですよね。えっと、じゃあ、まだ先なんですけど、カットの練習台とかどうですか? あの、心配しなくても、ちゃんと先輩が最後に直してくれるんで……」