年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~



「……結局その日は、名前も何も聞けないまま、沙羽さんはあっさり帰っちゃったんですけど。全然、覚えてませんか?」


話を聞いているうちに、うっすらと記憶が戻って来た。誰かが倒れてるところに遭遇するなんて滅多にないし、なんとなく、そういえばそんなことあったかも、という程度だけど。

でも。

「私の記憶の中の子、大輔くんと随分違うような気がするんだけだけどなあ」

どっちかというと、もっとチャラチャラした感じの子だった気がする。大輔くんの穏やかな雰囲気はなくて、その辺のコンビニでたむろしてそうな、派手な感じの……。

「それ、絶対俺です。昔は変に冒険してたんです。髪色ももっと明るかったし」

大輔くんが苦笑いを浮かべた。

「途中で俺には似合わないなあ、って気付いたんですけど。いろいろ試してみたい時だったんですよね」

はは、と乾いた笑いでごまかしている。どうりで全然思い出せなかったわけだ。
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