年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
「その後も、落ち込みそうになるとあのベンチに行ってたんです。初めは沙羽さんの会社の裏だなんて全然知らなかったんですけど、何回目かにぼーっと座ってる時に、非常階段にいる沙羽さんを見つけて」
「えっ? あそこから見えるのって、非常階段なのっ?」
はい、と頷く大輔くんから、体を少し離して彼の顔をうかがう。誰にも見られないと信じきっていたから、非常階段での私は、おもいっきり素の私だ。
「変なとこ、見てないよね?」
恐る恐る尋ねると、大輔くんが少し笑った。
「一人で、泣いてましたね」
ばっちり見られていた。人目なんて気にしてなかったから、絶対ひどい顔で泣いてたはず。
「忘れて、そんな姿、今すぐ消去して」
恥ずかしくて更に体を離そうとする私を、彼が笑いながらぐいっと引き戻した。