年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
「俺まで向こうに戻ったら誰がノーブルに残るんだよ」

「俺が残ればいいじゃないですか」

「それでもいいけど、これだけセットの予約が入る日なんてもうないからな。来年の成人式はお前も戦力でカウントされるんだぞ。いきなりで対応できるんだろうな?」

毎年セットの予約で混み合うのは、成人式と卒業式、それにこの花火大会。浴衣のセットは料金も安いし簡単だから、セットの練習を始めたスタイリストはまず花火大会で修羅場の空気を経験してから、成人式に挑む。
年々予約は増えているのに、去年までタケさんと一緒に主力で活躍していたスタイリストが今年辞めてしまって、その穴は俺と恭平で埋めろと厳命されていた。

「じゃあエミさんに頼めば……」
「じゃあお前が着付けするか?」

セットに慣れている咲さんとエミさんはどうしても着付けに取られる。それはわかるけど、だからってあのこだわりの鈴坂さんを俺が担当するなんて。

「不安なら練習しろ。スタイリストを名乗ってるんなら、甘えたことは言うな」

厳しい声でそう言って、タケさんはもう俺の泣き言に聞く耳を持ってくれなかった。
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