年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
今回も迷いなく大輔くんの手は動いていて、楽しそうな目は健在だった。練習の甲斐あって、初アップデビューも無事成功したみたいだし、こうやってどんどん成長していくんだろうなあ、と思うと、その速さにびっくりする。

椅子一つを隔てた隣を見ると、辻井さんが綾川さんと楽しそうに話しながら、余裕の顔で手を動かしていた。私が来るのはいつも営業時間後だから、そう言えば辻井さんがお客さんを相手にしてるのって見たことないな、と思いながらその手つきを見ていると、なるほど、大輔くんが尊敬するのもわかる気がした。

素人目から見ても、速い、丁寧、綺麗。
綾川さんの長い髪が、見る間に形を変えていく。

「やっぱ全然違うんですよね、手の動きとか、速さとか」

大輔くんも私の隣で辻井さんの手つきを見つめていた。その目は真剣で、辻井さんの動きを盗もうと必死で追いかけているようだった。
< 418 / 462 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop