年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
それよりも問題は、あの子だった。
ふとした拍子に、あの子が呼ぶさわさん、という響きが耳に蘇ってくる。
会いたいんならお客さんとして会いに行けばいいじゃない、と思うたびに、また私のくだらないプライドが首をもたげた。
一回流れで寝ちゃっただけの女が訪ねて来たって、彼にとっては気まずいだけかもしれない。
俺に髪を切らせてください、と言った彼の言葉は、きっとその場の流れで言ってしまっただけなんだろう。
未練はないぞと祥裄にも絵里ちゃんにも伝えるために、ばっさり切ってしまおうと一度行きつけの美容室に行ったのだけど、なぜかあの子の声が蘇って、結局毛先を揃えてトリートメントするだけ、といういつものオーダーになってしまった。