年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
「さわさんっ」
右腕をがしっと掴まれた。ずっと思い返していた私を呼ぶ声が、耳に飛び込んでくる。
全力で走ったせいで息切れして話せない私と、彼のほうも息を弾ませていて、二人で膝に手をついて息を整える。ただしその間も、彼の手はしっかりと私の腕を掴んだままだ。
「足、速い、ですね……」
「昔、陸上部、だった、から……」
切れ切れに答えると、先に息が整った彼がふわっと笑った。
「どうりで。走り方がキレイだと思った」
陸上部だったのなんて学生時代までで、かれこれ十年以上走ったりしていない。フォームなんて崩れきっているだろうけど、褒められるとなんだか嬉しい。