年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
練習している大輔くんの真剣な顔を見るのが、好きだ。
人懐こさがなりを潜めて、ぐっと男っぽい顔をする。
そして、練習が終わってからお待たせしました、と私に向ける、子犬の笑顔も。
辻井さんがいる時は片付けを引き受けてすぐに送り出してくれるし、大輔くん一人の時は片付け終わるのを眺めながらソファに座って待つ。その時間も意外と好きで、なんだか特別な存在になれたような、幸せな気分に浸れた。
お互いの仕事のこと、その日あった些細な出来事、担当した少し変わったお客さんの話。
なんでもない会話から、少しずつ彼のことを知っていく楽しさ。
青春真っ只中の高校生みたいなたどたどしさで、それでも確実に彼との距離が縮まっていくのを感じる。
自分の中のどこにこんな初々しい感情が残っていたんだろう、と思うくらい、素直に彼と過ごす時間を待ち望んでいる自分がいる。
どんなに疲れていても、仕事が忙しくても、大輔くんと会った次の日は、また頑張ろう、と思えた。
それが今、こうやって成果に現れている。
早く彼に会って、お礼が言いたかった。