年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
「おい、なんだよそのあからさまな態度」
「なんのことですか? 絵里ちゃんならもう帰りましたけど」
「知ってるよ。今から待ち合わせなんだ」
早く帰っても勉強なんかしてないんだろうとは思ってた。
どうせ毎日遊び歩いてるんだろう。
「じゃあ早く帰られたほうがいいんじゃないですか? 一度会社に戻られるんでしょう?」
「今日はこのまま直帰だよ。……なあ、その他人行儀な話し方やめないか」
「他人行儀もなにも、他人ですから」
苛立たしくケトルを睨む。
ああくそ、早く沸け、お湯!
「最近調子良さそうだな。頑張ってんじゃん」
「……どうも」
祥裄が私の前から絵里ちゃんとともに立ち去ったあの時から、仕事以外の会話は一切していない。
そういえば、きちんと別れ話すらしていないのだと、今更になって気が付いた。