恋する白虎
「俺達、幼馴染みだからさ、誰よりも俺が杏樹に近いと思って、油断してたよ。
ガキの頃から、お前が好きだったのに、もっと早くコクっときゃよかった」

「ごめん、慶吾……」

慶吾は杏樹を引き寄せて、胸に抱いた。

「泣くなよ。俺がフラれたんだっつーの」

「だって……慶吾の事は大事だよ。特別だよ。だけど……」

「分かってるよ、お前の言いたい事は。
だけど、そーゆー眼でみてない男を特別って言うと、本命がヤキモチ焼くぜ」

ヤキモチ……?

じゃあ、永舜は……。

「なあ、杏樹。
俺はお前が好きなままだよ、ずっと。けどそれは、俺の気持ちだから、お前は気にするな。分かった?」

慶吾は、優しい。

「慶吾……ありがと」

杏樹は、慶吾をやっぱり特別だと思った。
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