あなたの一番大切な人(1)
 何事にも秀でていたフォルガスはアオディを簡単に支配下におけると踏んでいた。
  
 しかし、実際は違っていた。

 
 アオディは軍事大国である。

戦車や戦闘機など近代化が進んだフォルガスに対抗できる理由が3つほどある。

 一つ目は古来から受け継がれている力である。

 他所の世界では目にすることがない魔術(とでもしようか)を駆使するものが、国王の側近として仕えている。
  
 たしかに街の人間の中には小さな力を持つものもいる。しかし、(自称)世界最高の魔法使いの力はくらべものにもならなかった。
  
 彼が一声唱えれば、水を自在に操ることもできるし、地に大きな穴をあけることも可能である。
  
 電気で動く機械の回路をショートさせることも朝飯前である。

  
 二つ目は参謀の腕が良い。
  
 国王と異なり過去のことを綿密に調査している側近も存在する。
  
 その者は過去の教訓から新たな戦術を導くことに長けた能力を持っていた。
  
 彼が企てた策を持ってすれば、相手の動きを読むことも、攻撃も防御もすべて意の向くままであった。
  
 ”死せるなんたら、生けるなんたらを走らす戦法”を考案した際は、戦わずして勝利を得たと、周囲からも感謝の意を述べられた。

 
 三つ目は国王の剣術である。
  
 容易に想像できるかもしれないが、国王の乱闘好きは伊達ではない。
  
 腕っぷしにも強い自信があるため、不要な時でさえ武力で制圧することが多々あった。
  
 中でも、剣を持たせると右にでるものはいないといわれるため、彼が剣を抜くということは相手の死を意味する、と揶揄されるまでであった。


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