あなたの一番大切な人(1)
国王は裏道から城の中へと一人で入っていった。
城まで送り届けた従兵は、昨日問題があった現場に戻らねばならなかったからだ。
裏口の階段をのぼりながら、彼は昨夜ここを抜け出した時のことを思い出していた。
-たしかに、あいつは酒場にいくなっていっていたな-
丸い大きな目が自分を責めているような錯覚に陥ったので、彼は苦笑した。
はじめは酒場など行くつもりもなかった。
それでも、なぜか市街地に到着した途端、当初の目的とは全く関係のないところに足を踏み入れたのは事実であった。
しかも一度も立ち寄ったことのない店に迷わず入り混み、麻薬が自分のすぐそばを通過するのをまったく感じることなくその場の雰囲気に酔いしれてしまった。
しかし、一体だれがポケットに小瓶を入れたのか。自分に近づいた人間を細かく思い出そうとしたが、酒のせいもあってぼんやりとしか把握できなかった。
印象的なのは、無愛想な店員と、自分の足を蹴り飛ばした若い男と、どこからか聞こえてきた女性の悲鳴だった。
その時、ふと彼女の顔が浮かんだ。
まっすぐ透き通るような瞳を持った穢れなき高潔な女性。
見ず知らずの自分のために、強腕の禁衛隊長を打ち負かし、脱走をほう助しようとした。
かと思えば交えた剣越しに伝わる強い自分への殺気。
城まで送り届けた従兵は、昨日問題があった現場に戻らねばならなかったからだ。
裏口の階段をのぼりながら、彼は昨夜ここを抜け出した時のことを思い出していた。
-たしかに、あいつは酒場にいくなっていっていたな-
丸い大きな目が自分を責めているような錯覚に陥ったので、彼は苦笑した。
はじめは酒場など行くつもりもなかった。
それでも、なぜか市街地に到着した途端、当初の目的とは全く関係のないところに足を踏み入れたのは事実であった。
しかも一度も立ち寄ったことのない店に迷わず入り混み、麻薬が自分のすぐそばを通過するのをまったく感じることなくその場の雰囲気に酔いしれてしまった。
しかし、一体だれがポケットに小瓶を入れたのか。自分に近づいた人間を細かく思い出そうとしたが、酒のせいもあってぼんやりとしか把握できなかった。
印象的なのは、無愛想な店員と、自分の足を蹴り飛ばした若い男と、どこからか聞こえてきた女性の悲鳴だった。
その時、ふと彼女の顔が浮かんだ。
まっすぐ透き通るような瞳を持った穢れなき高潔な女性。
見ず知らずの自分のために、強腕の禁衛隊長を打ち負かし、脱走をほう助しようとした。
かと思えば交えた剣越しに伝わる強い自分への殺気。