シオンズアイズ
もう遅かった。

血しぶきが辺りに飛び、アイーダは言葉を発することなく絶命した。

生命力をなくした持ち主を察したように、ユグドラシルの腕輪がみるみる灰色になり、粉々に砕けた。

アイーダの瞳は、たちまちのうちにくすんだガラスのように光を失い、シオンは全身の力が抜けてカイルに寄りかかった。

「シオン、手当てをしよう。おいで」

シオンは、心配そうにこっちを見つめるカイルの海のような瞳を睨み付けた。

強い光を放つように、シオンの瞳の色が目まぐるしく変化する。

「どうして……どうして、殺したの」

自分に避難の眼差しを向けたシオンを見て、カイルは小刻みに頭を振った。

「君を殺そうとしたから」

「離してっ」

ああここは、なんという世界なんだろう。
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