シオンズアイズ
カイルは蒼白な顔をシリウスに向け、必死で動揺を隠すように口を開いた。

「シオンが僕に落ちるのは時間の問題です。他の男の力を借りるまでもありません」

「ほう。それは心強い。アーテス帝国内でお前ほど女を虜にする術を持つ男はいないからな」

カイルは、向けられた誉め言葉に感謝の意を表し瞳を伏せた。

「……では……あまり痛め付けて白金族人間に対する印象を悪くするのは得策じゃないな。 涙を搾取する件は保留にしようか」

カイルは、背中に伝う冷や汗を不快に思いながら頷いた。

シリウスの表情が気になり、恐る恐る視線を上げると、思いの外自分を凝視している彼の眼差しに、ギクリと驚く。

そんなカイルを、シリウスは射抜くように見据えている。

それからやけに静かな声で言った。
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