シオンズアイズ
「カイル」

「……はい」

「抱くなよ」

「……っ!」

カイルが大きく眼を見開く。

「いいか。シオンを抱くな。
抱けば『七色の瞳の乙女』の力は失われる。ただ、シオンの心を手に入れるんだ」

カイルは、胸に何かが詰まったような感覚に戸惑いながら、必死で口を開いた。

「……はい」

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

カイルはそのまま隣の自室に帰ることが出来なかった。

部屋とは反対側に歩いて中庭へと向かうと、松明の灯りが草木を赤く照らしている。

カイルはそんな赤い枝葉を見つめながら立ち止まった。
< 242 / 515 >

この作品をシェア

pagetop