短編集『秋が降る』
急いで廊下を歩く。

するとすぐに大きなガラス張りの扉があった。

扉の向こうには、車道が見えた。
ちょうど車のライトが右から左へ通り過ぎたところ。

「やった・・・」

私は扉を引く。

ガチャガチャッ

「もう・・・」

当たり前だが、カギがかかっているのだ。
また鍵束を出して、ひとつずつカギ穴に通してゆく。

外からならわかるが、中からもカギがかけられるなんて。
どうしても脱出させたくないんだ。

なんて厳重なんだろう、と敵ながら感心すらしてしまう。

ようやくひとつのカギが穴に刺さり扉が開いた。

< 81 / 156 >

この作品をシェア

pagetop