短編集『秋が降る』
「ああ」

一気に風が吹き込んで来る。

ほんの2週間くらいかと思っていたけれど、外の空気はかなり冷たい。

静かに外に出て、歩き出す。

どっちへ?

わからないけれど、誰かに助けを求めなければ。

不思議と力がみなぎってきている。


待っててね、俊秀さん。

すぐに行くから。

私は左へと歩みを進める。

すると、通りの向こうから誰かが歩いてくるのが見えた。

「あぁ。す、すみません!」
私は声を出してその人影に声をかけた。
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