短編集『秋が降る』
「え?」

ギクッとしたようなその影。

「た、助けてください! 警察を呼んでください」

「え? なになに?」
ようやく事態を察したのか、その声が近づいてくる。

「そこに誘拐されていたんです。人体実験をされていて、どうか警察を呼んでください!」

「なんだって、それは大変だ」

その声に体全体から力が抜けた。


助かった・・・。

助かったんだ!


ようやく人影が街灯の下に姿を現す。

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