短編集『秋が降る』
薬の力は偉大だ。

あんなに大暴れしていたのに、たった1本の注射で私はぐったりと力を失う。

寝てはいない。

でも、力が入らない。

やがてベッドに寝かされ、暗闇に支配される。


___捕まってしまった。


あれからどれくらいたったのだろう。

私は部屋に戻されることなく、1階にある診察室のような場所にある簡易ベッドに寝かされていた。

「杉浦先生の部屋かな・・・」

意識が混濁していて、寝ては覚めるを繰り返しているようだ。
今が朝か夜かもわからない。

< 85 / 156 >

この作品をシェア

pagetop