嘘つきなあなたからの恋文。


「私、コタくんと中学3年生の1年間隣の席だったんです」


「あら、そうなの?」


「はい…コタくんにはとてもお世話になりました」


「そう…」


「コタくん、いつも笑って私の話を聞いてくれました」



『小池さんていちいち動作も入れて必死に伝えてくれるよね』

そう小言を言いながら私の話を笑って聞いてくれた。


「分からない問題があれば丁寧にいつも教えてくれました」


どんなに遅い時間になっても丁寧にノートに書いて教えてくれた。

そのおかげで今握り締めてプリーツが皺くちゃになったこの制服を着れることができた。


「コタくんはいつも…優しかった」


ケンカをして、私がハブてているといつも彼がごめんと謝罪してくれた。

そして仲直りと握手をした。


彼が提案してきたくせにまるで幼稚園児みたいだねと彼は笑っていた。


「コタくんとの思い出はたった1年間だけですが、1年とは思えない程彼との思い出はたくさん出来ました」


あの頃の私はそんな思い出をこれからもっとできると信じて疑わなかった。


遺影のコタくんはあの頃のままのコタくん。


「コタくん…今まで会いに来れなくてごめんね」


手を合わせゆっくりお辞儀をした。

そしてコタくんの遺影からコタくんのお母さんに向き合った。


「コタくんのお母さん」


「なに?」


「お願いです、コタくんのお墓の場所教えて下さい」


ねぇ、コタくん。

ちゃんとお別れしないといけないよね。

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