私の師匠は沖田総司です【下】

髪を触られると、くすぐったくて変な感じがして苦手だけど、蒼蝶が嬉しそうだから好きなように触らせる。

髪を触られる感触を感じながら俺は昨夜のことを思い出した。

――天宮さんを陥れた女を始末したわ。

長州藩邸で稔麿たちと今後の活動について話し合っていたとき、外を出歩いていた桜木が俺達に言った。

以蔵と新選組の調査をしていて、蒼蝶が記憶を失った原因を突き止めたとは聞いていた。

でも、まさかこんなに早く、しかもたった一人で新選組に乗り込むとは思っていなかった。

一人で危険を冒したことを稔麿は珍しく激怒していたが、桜木は聞く耳もたず、逆に一仕事を終えて清々しさを感じさせる表情をしていた。

……何はともあれ、桜木が無事でよかった。

女は嫌いだけど、桜木は一応俺たちの仲間だから。

けど、これで新選組の奴らは蒼蝶が裏切り者ではなかったことを知ったことになる。
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