夫婦ですが何か?Ⅱ



言われたままに、子供を寝かしつけるかのように頭を柔らかく撫でていく。


動きを見せない彼からは明確な感情は読めないけれど、彼が望んでいるというのならきっと不快ではないのだろうとそれを続ける。


ああ・・・朝ごはんを作らないと。


着替えて支度しないと遅れますよ?


そんな事も頭には浮上するのに口には、喉元にすら浮上しない。


ただこの瞬間がどこか穏やかで、余計な感情なしで動く時間なのは視線を絡めないからなのか。


だって悲しいかなあのグリーンアイを見たら・・・可愛さ余ってではないけれどどうしても反抗的で意地の悪い自分が浮上する。


だから・・・今の彼の姿はありがたい。


優しく、彼の望むままの姿でいられる。


そんな事を感じながら、時間の概念も忘れた滅多にない朝を紡いでいれば。



「・・・・・一人で・・・眠れないんだ」



静寂を破って響いた彼の言葉。


大げさな。


そう思いたい。


でも、本気で言っている。



「・・・・・大げさな言葉では?」


「・・・でも・・・眠れない」


「子供みたいな事を・・・」


「・・・・恐いんだ、フッと目が覚めた瞬間に困惑する。・・・今が【いつ】で・・・どこまでが・・・自分の都合良しな夢想だったのかって・・・・」


「夢想・・・・」



それは・・・・その詳細は・・・、


対象は・・・私の事ですか?


【いつ?】と、【現実(いま)】と混同して困惑するその時間は、お互いに傷痕明確なあの時間の事でしょうか?


夢現に入りこむ悪夢ほど強烈で・・・リアルより絶対の恐怖を感じる事がありますからね。



「・・・・ベッドで・・・眠ってもすぐに起きちゃって・・・。起きる度に隣に無い姿に心臓が痛いくらいに跳ねて・・・。
そんな繰り返しで眠れなかった。

本当は・・・・千麻ちゃんも・・・翠姫もいないんじゃないかって・・・・・」


「・・・・・・」


「でも・・・リビングに来れば・・・2人の存在明確な物で溢れかえってるからさ・・・・少し・・・苦しさ半減してここにいたんだ」



フッと笑った様な息が零れて、でも微弱で本気で可笑しいとは思っていない様な。


本当は・・・それらを捉えても不安だったんでしょう?


私もあの時間に酷く傷ついていたというのなら、あなたも私が計り知れないほど傷ついていたって事なんですね。


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