夫婦ですが何か?Ⅱ



意図的に言葉で遊んで彼の人となりに偉そうに持論を説いた男。


何も知らないくせに。と、顔を見る度に思い出して腹が立つほどなのだ。


それは現在進行で継続されている感情で、今は曲がりなりにも病人だと言い聞かせての親切心。


なのにこの男あえてそれを掘り返し言葉として確認してくるから腹が立つ。


そしてその答えも知っていて確認してきているのだ。



「自分が愛着抱くものを僅かにも貶されたら・・・、普通の感覚であれば不愉快と言う感情が浮上する物では?」


「ああ、一応愛着あったんですか?」


「・・・・あなたが腕に抱いている我が子は彼と愛情あっての存在だと生きた証明になると思いますが?」


「まぁ、世の中にはそれほどでなくても出来ちゃった結婚なんて物も存在してますから」


「・・・・・出来ちゃった再婚ですが何か?」


「・・・・・・・ふはっ・・」


多分・・・さすがに偶然のなせる業でつぶやかれた結婚方法。


それがあながち自分の現状への成り行きと違わない事に複雑な感情が浮上して、それでも何がいけないのかと挑むように切り返してしまった。


近くにあった包丁を顔の高さまで持ち上げて。


そうして不愉快を示してしまえばどうやら可笑しかったらしい男が間をあけた後に噴き出したのだ。


今はマナー的にも軽く顔背け、声だけでも噛み殺そうと努力はしている。


肩は揺れてるけど。



「・・・あなたはつくづく私と彼の関係にいちゃもんをつけたいのだと解釈しても?」


「ははっ・・・別にそんなつもりは。ただ・・・一般的夫婦関係と見比べると型破りでどうしても自分の意識が行ってしまうんですよ。・・・・その、面白くて、」


「・・・・・ダンボールのストックは?」


「残念ながら・・・先日全て廃棄しました」


「・・・・・劇薬でもあれば・・・」


「料理にでも混ぜますか?」



遠回しでも分かりやすく不愉快の意思を告げても、どこか楽しげに返してくる隣人に眉根を寄せて息を吐いた。


そしてその隣人に人見知りもなく懐いてしまっている愛娘の存在にも焦ってしまう。


あまり馴染んでほしくない。


それに、これがきっかけで交流が増えるなんて真っ平だと鍋に蓋を閉じ。


もう自分の役目は終わったと、キッチンを抜けてリビング側に回り彼の前に進んで無言で両手を広げてみる。



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