夫婦ですが何か?Ⅱ
そうして捉えた微笑みはどういった物なのか。
いやそれよりも彼が発した問題発言やこの抱擁の追及の方が先だろうか?
「・・・・・とりあえず・・・、的外れで勘違いな返答をしたくないので質問として確認しますが、」
「フフッ・・・はい、どうぞ」
「今程の不誠実な関係への誘い文句は本気の言葉なのでしょうか?それともいきすぎた笑えない悪質な悪戯でしょうか?」
「それに真面目な返答を返せば・・・・半々・・でしょうか」
「・・・・もう少し具体的に」
「つまりは・・・・冗談と言うほど軽い物でもなく、強引にする程本気だというわけでもない。でも・・・その対象として興味がある・・・が適切でしょうか?」
「・・・・・・物好きですね」
「・・・・もう少し、恥じらったり、動揺して焦ってもらえた方が言い損に感じないのですが・・・」
さすがに微笑みと言うよりは苦笑いを浮かべた男に特別感情的になる事もなく、ここにもキチガイで物好きな男がいたのかと呆れ半分に小さく息を吐いた私。
でも息を吐いたのは私だけでなく私の反応に少なからず落胆した彼も。
困った。
そんな感じに息を吐きながらようやく翠姫を床に降した彼がチラリと上目遣いで私を確認してから体を起こし軽く後ろ頭を掻きながらキッチンを見つめた。
「なかなかの・・・理想的ビジョンだったんですが。あなたという人を掴むのは難しいらしい」
「・・・・相手のすべてを掴むなんて夫婦であっても無理な事かと」
「珍しい。あなたならご主人の全てを理解して認めていると宣言しそうな物を、」
皮肉なのか。
確かに私が言いそうな言葉ではあると納得しつつも、そこまでは己惚れた感覚は持ち合わせていないと軽く息を漏らすように笑った。
そして見慣れぬ部屋を好奇心に満ちた眼差しで徘徊する翠姫を見つめてぼんやりと答えになる言葉を紡いでいく。
「結婚とは・・・夫婦とは・・・、まさにあんな感じでしょうか」
「・・・・子供が出来て家族として繋がると言いたいのですか?」
「そうではなくて・・・、そう言う捉え方もありますが・・・。
好奇心と探求でしょうか。
好奇心に満ちて近づいて、もっと明確に捉えたくて触れて探って覗き込んで、そしてまた新たな発見をして探求したくなるような」
「・・・・・エンドレスな探求ですか?」
「それが途絶えたら・・・・マンネリの嵐。
相手に対する興味と探求が続くことが夫婦にとって飽きることなく続く秘訣なのでは?と私は思っていたりもします」
「つまり・・・一生掴めず探って求め合う方が夫婦として幸せだと?」
「少なくとも・・・私がそうだというだけです」
そう・・・掴み切れないくらいがいい。
いつまでも、いつまでも・・・。