夫婦ですが何か?Ⅱ
「・・・・・彼といるのは・・・ビックリ箱みたいで、クルクルと姿も反応も変わって、いつも私の予想以上の結果を見せてくれる。
同時に・・・鏡の様で・・・、私が怒れば不機嫌顔で、私が弱ればその表情を曇らす、滅多にないけれど笑えば・・・私以上の笑みを見せて・・・・・・、
・・・・・って、私は何を語っているんでしょうかね?」
「さぁ?一般的に応えれば惚気なんでしょうか」
語っていて不意に何を言わんとしての言葉だったか一瞬見失って、間抜けにも語っていた相手にそれを問うてしまった。
でも、ああ、思い出した。
「つまりは・・・、私にとって・・・どうしても知りたくて触れたくて、同時に鏡返しのように向かい合っていたいのは彼だけであって・・・・・、
私にとっての結婚とは彼と隣り合う事・・・いえ、向かい合う事だと心身から思っているのですよ」
ウンウンと自分で自分の発した言葉に納得して、それによってやはり揉めようが喧嘩しようが結論は一つなのだと身に染みる。
私はもう二度と・・・、
「彼を手放し離れることはしない。
それが再婚を決めた時に刻んだ信念です。・・・・彼が本当に私から心離れたような状況を除けば・・・ですが」
「・・・・つまり・・・危ない誘惑には乗らない・・と、」
「言ったでしょう?夫婦とは鏡の様な物なんです。不信感ある行動や言動を引き起こせば、連鎖反応のように相手にも似たような境遇が巡ってくる。
私はですね、ぶつかって喧嘩するのも、嫌味を飛ばして駆け引きするのも夫婦の醍醐味だと思って楽しんでいます。
でも、その範囲を超えるような秘密や伴う揉め事は不必要。
夫婦間で扱いきれる駆け引きで、時々刺激的に平和な日常を過ごしたいだけなんですよ」
そう、時々ね。
相手を惹きつける為だけの悪意の無い駆け引きで。
私は【夫婦】でいたいだけ。
後に揉めた事でさえ馬鹿らしいことだったと笑い合って・・・お酒を酌み交わすような。
だから・・・不必要。
スッと目の前の男を見つめる。
この話をしている間は珍しく嫌味な微笑みをしていなかった男は何を思っているのか。
それでもはっきりと告げておかねばならぬことがあると、息を吐いてから体まっすぐに目の前の彼と対峙した。
「どの程度・・・私にご興味頂けてたのか存じませんが・・・、そして、過剰すぎるお節介を施したことでその気持ちに拍車をかけたのかもしれませんが・・・。
申し訳ありません。
今の私には【彼】か【それ以外】という馬鹿みたいな選別意識しかない愚かな女なのですよ」
そして、その愚かしさに誇りを持っているのです。