夫婦ですが何か?Ⅱ
つくづく理屈っぽい女なのだとふと気づく。
恋愛とは、それ以外もほとんど結果感情的に動いてしまうものだと学習はしているのに。
結果を得る前は予測して語り、結果を得た後はそれに基づいた持論を語って。
しかし、・・・それが私なのだ。
男ウケしないわけだなぁ。
と、何となく客観的に自分を捉えて恋人にするには面倒な女だと軽く口元に弧を描く。
でもそれに悲観しているわけでなく、そんな女にのめりこんでいる気の毒で愛らしい夫がいるのだと可笑しくもなる。
そして・・・どうやら目の前のこの男も彼と似たような感覚の持ち主だったのだ。
「・・・・と、一方的に明確でないあなたの気持ちを断定での発言も失礼いたしました。
でも、もし多少にも私に対しての感情がおありでしたらご記憶頂きたくて・・・・私は主人以外に心動く女ではないと」
「・・・・」
「恋愛においては・・・・そう、不器用なのですよ」
自分の曲がりなりにも一途である部分を不器用なのだと言葉を遊んで、よりよい近所づきあいの念押しのようにこれ以上の関係はあり得ないと宣告。
まぁ、彼も言っていたではないか。
半々なのだと。
まだ本気ではその感情芽生えていないというのなら過剰であっても釘打ちしておくのは重要だと思う。
私も過剰なお節介はここまでにしよう。
それこそ夫である彼が危惧する疑いのタネを撒くことになりかねないのだから。
フゥッと息を吐くとこのおかしな時間も終わりだと半歩身を引き意識を切り換え、愛らしき姿を探して視線を動かし捉えた姿にさすがに焦った。
あっ・・と思ったときには時すでに遅し。
少し離れたリビングのテーブルの上、積み重なったファイルや書類に手を伸ばしていた翠姫。
そして焦り虚しくも次の瞬間には無残にも床に散らばったそれらに母親として居心地悪く気まずい感情で駆け寄った。
「すみません」
「あっ・・いいんですよ。そのままで、」
この時ばかりは本気の謝罪を口にして、今にも散らばっている書類を無残に握りしめようとしている娘に本気で血の気が引く。
気にするなという言葉を背中で受けても、仕事に関わるような事に対しては無責任になれない私。
何よりもまず翠姫を抱え上げてこれ以上の被害増幅を防ぐと、床に散らばった物たちを片手で丁寧に拾い上げて集め始める。