夫婦ですが何か?Ⅱ




「・・っ・・あの、今日はお仕事おやすみなのですか?」



この質問は違和感ある物だっただろうか?


でも平日のこんな時間に家にいることを疑問に思うのは可笑しな事じゃない。


失礼ではあるかもしれないけれど、聞かれない事ではないと平常心装ってその姿を見つめれば。


動揺もなくにっこりと微笑んだ男。


聞かれても何の支障もないと言いたげに。



「・・・・引っ越したばかりなので今週は休みを貰ってたんです。月曜からは通常勤務ですよ


「・・・・成程」



それが本当なら・・・・心が休まります。


明日は土曜日。


彼も家にいて、もうこんな風に私とこの人が接触するような事はないと思う。


榊とも新崎とも。



「・・・・お邪魔・・・いたしました」


「いえ、こちらこそ慈善事業感謝いたします。程よく新婚さんごっこも楽しめましたし」



この言葉に含みはあるのだろうか?


どうも今はこの人の全てに過剰反応して疑ってしまう。


勝手な推測でのそれは失礼極まりないと分かっているのに。


それでも触らぬ神に祟りなし。


少しでも疑いあるものには近づかないのが一番の得策であると、翠姫をしっかり抱きしめ立ち上がると一礼する。


失礼だろうと今は警戒置いて離れるべきだ。


その意思で短いのに長く感じる廊下を歩きぬけ玄関に向かう。


心臓が・・・・煩い。


分かってる。


もう、この家から出るから。


そんな風に心に言い聞かせ宥めながら簡易的なサンダルに足を収めた瞬間。



「・・・ますます、好感抱いてしまいました」



もう緊張から解放されると油断した隙に打ち込まれた鋭利な言葉に露骨に驚愕し振り返れば向けられる笑み。


それが畏怖して感じるのは私が過剰な推測を頭に描いているせいなのか。


そして向けられた言葉に心が焦る。



「・・・・・安心してください。特別何か仕掛けようなんて思ってませんから。ただ・・・密かに・・・距離を置いて心の内で想うくらいは許されるでしょう?」



それは・・・、


確かに私がどうにかできる物じゃない。


でも、ちょっとした見方を変えればそれは【ストーカー】というものではないでしょうか?


【ストーカー】


ダメだ・・・どうしてもあの写真とこの人が結びついて仕方ない。



「・・・あの、まぁ・・・近所付き合いに支障でず平和を保っていただければ・・・」



逃げ腰でしょうか?


自分でも驚きます。


私がこんな弱気な一言を口にするなんて。



< 120 / 574 >

この作品をシェア

pagetop