夫婦ですが何か?Ⅱ
でもそう簡単に流せる話題でもなく、今回ばかりは耐え切れないと結論を告げる。
「とにかく、この環境に耐え切れません。このままだと胃に穴が空きそうです」
「俺のお守りの5年に比べたらーー」
「あなたの子守りの方が100倍マシ!」
「うーん、喜んでいいのか迷う場面だね」
複雑な笑みを浮かべながらようやく靴を脱いだ彼が廊下を歩きぬける姿をひよこのようについて行く。
そんな事態にも困ったように笑って振り返る姿に不満顔で直訴を続ける。
「本当に無理です」
「とか言って、今までだって色々な仕事を『さすがだね千麻ちゃん』で切り抜けてきたじゃん」
「今までの書類や型通りの仕事と一緒にしないでくださいよ!」
「これも人生経験でしょ?」
「あなたはそこまで関わらないから簡単に言えますよね?!」
「だって俺仕事あるもん。今だってそれなりにクタクタ帰宅なんだよ?」
「私だっておかしな近所関係にクタクタなんですよ!?何の為に私が我慢する理由があるんですか!?」
「・・・・ほら、俺たちの愛の試練だとーー」
「ぶっ殺しますよ?」
「ああ、もうっ、じゃあどうしろって言うのさ!?」
「だから引っ越せばいいじゃないですか!!ここじゃない平穏無事な土地に!!」
最終的にお互いに声を張って対峙する。
のらりくらりと私を流しながら答えていた彼もさすがに限界だったらしい。
着替える為にクローゼットに入った彼を追った直後の衝突。
ネクタイを外しシャツをはだけさせた状態の彼が明らかに不愉快の表情を見せ髪を乱す。
その反応にこっちも負けじと不愉快を示すと腕を組み直してじろりと睨み上げる。
「不満ですか?煩い妻だとでも?」
「そんな事言って無い。ただ・・・」
「ただ?何ですか?」
「・・・・っ・・はぁっ、・・・ただ・・・どうするのかって、」
挑むように私を睨み下したものの結局脱力したように深い溜め息をついて近くの壁に寄りかかった彼。
そうして躊躇うように言葉を溜めて、一瞬の思考の末に私に向けられた言葉。
「・・・逃げて、環境変えるのが得策で本当に望むならいくらでも。家を買うくらいは簡単に出来るほどの貯蓄はあるよ」
「・・・」
「でも・・・・逃げて、その先でも似たようなトラブルあったらまた引っ越すつもり?」
「似たようなトラブルって・・・あると思いますか!?こんな奇怪で面倒でややこしい事態!」
「同じでなくても何かしら問題は浮上する物でしょう?」
「もう、おかしくなりそうなんですよ!!それとも何ですか!?私の精神が崩壊した方がいいとでも!?」
あっ・・・久しぶりに見た・・・。
失望ちらつくグリーンアイを。